ロミロミの種類とテクニック
Variety
種類
オイルかノンオイル(ドライ)か
現在よく知られているロミロミはオイルを使っているロミロミです。
多くの人がオイルを使うのがロミロミだと思っている方も多いはずです。
歴史的に見てもココナッツオイルやククイナッツオイルなどを使ったロミロミは、指や腕を滑らせ、また適度な圧力をかけるのに使われていました。

しかしながら文献や証言などを調べてみるとオイルを使わないでロミロミをする治療者(医者)が多かったのが事実のようです。
オイルを使わずに、揉みほぐしたり、その圧力によって刺激を与えたり、手などの動きによって内臓などを正常な位置に動かしていったりしていました。
またロミロミは、薬草や塩、砂、温石、海水、真水(川の水など)を身体に塗り付けながら体を揉みほぐす、という使い方もされていました。
様々な自然の恵みを身体に浸透させることで治療を行っていたわけです。
プロトコル(手順・作法)
結論から言えば、ロミロミに決まったプロトコル(手順や作法など)はありません。
もともと医者の治療の方法として行われたのがロミロミですから、患者の症状や状態、その時の気候などの自然条件、季節や時刻などによってさまざまなシチュエーションで行われていました。

内臓をぐグリグリと揉みこんで動かしたり(これはかなり痛い!)、
首や体をグキグキと折り曲げてストレッチしたりするハード系なロミロミもあれば、
現在広く知られている、マッサージオイルを使って筋肉を深く揉みこんでいくことでリラックス効果もある比較的ソフト系のロミロミ、
さらには水中で行うWATSU系ロミロミ、
セラピストが患者の体の上に乗って行うアエというロミロミ、
薬草を身体に巻き付けたり塗り込んだりするラアウラパアウ(ハワイアンハーブ)ロミロミ
など多彩な技があるのがロミロミなのです。
Technique
テクニック
先の通り、人々を正常な状態に治療することを目的とするロミロミには様々な種類がありました。
また「揉む」テクニックにも数多くのテクニックがあり、患者の状態や症状によって最適な技術を当てはめていました。
ハワイ伝統のテクニックの数々
ハワイアンは昔から多彩なロミロミの手技や方法を持っていました。
島や先生(クム)によっても様々な技術を持っていたのです。
ここではハワイでの伝統的なロミロミテクニックのごくごく一部を文献より抜粋して紹介します。
- アエ(‘a’e)
足で背中をマッサージすること。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)- ハイハイ(ha’iha’i)
体のよじれ(ゆがみ)、神経系に調整が必要な時に行う「ブレークアップ」マッサージ。
(Emma Akana Olmsted, Hana, Maui, July 6,1930,HEN Vol.1,p.106)- ハイハイ・イヴィ(ha’iha’i iwi)
肩を押さえて骨(関節)をパチンと鳴らすこと、カイロプラクティックの型。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)- ハモ(hamo)
オイルをすりこむこと、塗り付けること、着色すること、オイルで揉むことや塗り付けること、優しくストロークすること、バターを塗るように(何かを)塗りつけること。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)- ホイホイ(ho’iho’i)
正常な位置にない臓器を「リプレイスする(正常な位置に戻す)」こと。
(Emma Akana Olmsted, Hana, Maui,July6,1930,HEN Vol.1,p.106)- ホオカヒカヒ(ho’okahikahi)
揉む、オイルを塗りつける、磨くようにこすること。
(Andrews Dictionary,1865)
オイルを塗りつけること、やさしくロミロミをすること。
(Handy, Pukui, Livermore,1934,p.34)[not in Pukui&Elbert Dictionary;cf.kahi,kahikahi below]- ホオクエクエ(ho’oku’eku’e)
肘で突く、肘をつかって圧す。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)- ホオウヌ(ho’ounu)
手のひらを使い、速い動きでマッサージすること。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)(cf.’unu below)- カヒ(kahi)
軽く叩く、軽く触れる。これは、まるで猫の背中をやさしくなでるかのような「タッチ療法」、軽い経擦法、滑らかなストロークも含んでいる。
(Nancy S. Kahakewai, LMT,2000,p.14)- カーヒヌ(kahinu)
オイルを塗ること、オイルを使って揉むこと。
(Andrews Dictionary, 1865: Pukui&Elbert Dictionary,1986)- カーケレ(kakele)
オイルを肌に塗りつけながら体の表面を揉むこと、オイルを体に塗ること。
(Andrews Dictionary,1986)- カオミ(kaomi)
一般的には指、手、踵などで行われ、ときには棒なども使われる、指圧に似た体のポイント(ツボ)を圧し込むような動作。エネルギーの流れを増やすこと。
(Serge Kahili King,Ph.D.,1983)- カーパイ(kapa’i)
循環を促進するために、体の上を握りこぶしで優しくトントン叩くこと。病人をロミロミやマッサージするためのハーブの丸薬。
(Andrews Dictionary,1865)- キーコオコオ(kiko’oko’o)
ストレッチングの動き(伸縮性運動)。
(Nancy S. Kahalewai,LMT,2000,p.41)- コー(ko)
引っ張られること、圧すこと、引っぱること、力いっぱい引くこと。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)- コーミ(komi)
マッサージをするために圧すこと、圧迫すること、さすること。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)- クイ(ku’i)
ポイを叩くように叩くこと。
(Andrews Dictionary,1865)- クオロ(kuolo)
揉むこと、磨くような動作のこと、バイブレーション。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)(cf.olo:前後を揉む事)- クーペレ(kupele)
左右の手を交互に円を描くような動作で、はじめは圧し次にソフト・ティシュー(※)をもちあげながらリズミカルに揉む、ペトリサージュ(揉捏法)のこと。ただし古典的なヨーロッパスタイルのペトリサージュが両手の平を向き合わせて行うのに対して、クーペレは手を同じ方に向けて行う。
(Nancy S.Kahalewai,LMT,2000,p.15)- ロミ(lomi)
揉む、圧す、すり潰す(ように揉む)、捏ね揉む、マッサージする。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)
疲れたり痛みを伴っている人の手足や体をマッサージしたりこすって温めること。
(Handy, Pukui,Livermore,1934,p.35)- ロミロミ(lomilomi)
この言葉は練り込むような動きやマッサージ治療全般に対して使われる。(ロミロミをされることによって)細胞組織はあらゆる方向に動かされる。ロミロミセラピストは組織を広げたりバラバラにしたりするために、優しくしっかりとロミロミを行う。その様子は肉の大きな塊の筋肉の組織を細かく切り刻んでいくのと似ている。
(Nancy S.Kahalewai,LMT,2000,p.15,41)- マナマナ(manamana)
マナ(超自然や神の力もしくはエネルギー)を与えること。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)- オーパ(‘opa)
体を揉んだり捏ね揉んだりすること。
(Handy, Pukui, Livermore,1934,p.35)- ウヌ(‘unu)
上に引き上げること、一緒に引くこと。
(Pukui&Elbert Dictionary,1986)(cf.ho’ounu above)
いかがでしょう?
このように、ロミロミにはとても多くの手技があり、患者の様々な症状や様態によって使い分けていたのです。
Summary
まとめ
以上のように
ロミロミとは、人々から抜け落ちてしまった生きる力(マナ)を元に戻すことで、人間が美しく元気な「正常な状態(ポノ)」にする、ハワイアンそして南太平洋の島々の人々が長い時間をかけて作り上げた癒しのメソッドです。
体と心を正常に保つために、現在でもロミロミは進化し続けています。
クウイポのロミロミは、このアンティマーガレット女史が体系化したロミロミテクニック、さらにカイポ・カネアクア師のような多くの優秀なロミロミ達人たちが行っていた代々伝わるテクニックやスピリットを付加して、現代の疲れた人々に癒しを与えられるよう手を加えたものです。
ハワイは南の楽園と言われます。
ロミロミはその楽園から我々への贈り物なのかもしれません。